【ネタバレ】超探偵事件簿 レインコード クリア後感想
「ダンガンロンパ」スタッフによる新作、超探偵事件簿 レインコード。
いやー、面白かった。クリアまでの時間はおおむね30時間程度。
表題通り本編のネタバレ…及びダンガンロンパのネタバレを含むので、未プレイ者は注意。
【総評】
良作。
土日をささげて一気にクリアしてしまった。
推理ADVとしての質は非常に高い。謎迷宮の要素である推理デスマッチを通して会話のムジュンを解鍵で論破する感覚はキモチイイ。推理デスマッチ前のロード(というか本編全体におけるロード時間)が地獄めいて長いが、PS2世代からすれば概ね我慢できる範囲ではある。
また、ダンガンロンパとの比較にはなるが謎の音ゲーとか、スケボーとか、ドライブとか、文字探しとかの苦行めいたミニゲームがないのも個人的には非常に評価できるポイント。
演出面としては各章開始時のユーマの語りがメチャクチャ好み。カナイ区のネオンの景観も最高。
章としては2章が一番好き。アイコの死をめぐって、常に不穏な雰囲気がまとわりついてくるのがよかった。トリックのオチが容疑者全員の共謀というのも読めなかったし、断片的な真実がつながって一本のロジックに収束していく感覚が心地いい。
謎でいうと4章もよかった。「奇殺師フィンクって誰だよ…そんなバケモンがいるならこいつにヨミーでもなんでも依頼してぶっ殺してもらえよ」と思ったが、そんなぽっと出チートキャラが犯人なわけもなく。謎迷宮に入るまで殺害方法が全然わからなかったし、フィクションならではのぶっとびトリックがこれでもかと炸裂していて、今作で一番「らしい」エピソードだ。
最終章でのどんでん返しは非常に「ダンガンロンパ」のイズムを感じた。解鍵を収集する過程で大概のプレイヤーは「空白の一週間事件」の真相、すなわちカナイ区の住人が皆殺しにされて欠陥ホムンクルスと入れ替わっていることに気づくだろうが、ここに至った時の「うわこいつやりやがった…」感といったらなかった。この悪趣味な視点の転換には間違いなくダンガンロンパの血が流れている。俺は詳しいんだ。
だからこそエピローグの爽やかさが映える。ほんまにエピローグの読後感がよかった。なんならこのエピローグだけでこのゲームの評価は100点だといってもいい。超探偵たちとの別れ、ヤコウへのさよなら、クルミの旅立ち。ここで感情移入できるのは、ストーリーを通じてキャラクター達を魅力的に描いてきたからこそだろう。雨雲けぶるカナイ区をアマテラス急行は抜け出して、曙光差す野原へと進んでゆく。未来への希望をにじませた、いいEDだ。変化球を投げ続けられたからこそ、最後のストレートは刺さるのである。
【クルミ=ウェンディー】
このキャラクターヤバくないか?
エピローグにおけるメイン視点を務め、ある意味影の主人公ともいえるクルミ=ウェンディー。まずビジュアルが可愛すぎる。そばかすダッフルコート神。
性格は天真爛漫で一本気。かわいい。
何よりすごいのは、「メタ的に死なないわけがないキャラ造形なのになんやかんやでエピローグまで生き残っている」ことである。
このキャラクターの構成要素を列挙する。
・初対面から主人公への好感度がやけに高い&馴れ馴れしい。
・あきらかに殺人事件が起きる気配がプンプンする劇の上演前に席を外す。
・やけに情報通。情報屋とか言ってる。
・メインの出番回(2章)が終わったにもかかわらず何かにつけストーリーに顔を出す。
・ゾンビがうようようろつく工場で頻繁に単独行動。
・実は人間じゃない。欠陥ホムンクルスとかいう化け物。
・日光を浴びると理性を失って人肉を喰らうため暴走するという特徴を持つ。主人公が日光を遮る雨雲発生装置を一時的に停止したために日光を浴びて倒れる。
いかがだろうか。自分はジェネリック舞薗さやかと呼んでいた。
こんなん裏がないわけないやん。でも裏はなかった。それがクルミ=ウェンディーのすごさである。超高校級の逆張りの逆張り。
もう最終章ではさすがに裏切りの目はないと判断したものの、いつクルミが死ぬんだ…いつ死ぬんだ…と正直気が気じゃなかった。RRRのラーマとビーム並みに「さすがに死んだか」→「いや生きとったんかいワレ!」を繰り返している。ゲームで吊り橋効果を味わったのはこれが初めてかもしれない。今作でぶっちぎりに好きなキャラクターである。Phatさん、フィギュア化お待ちしてます。
ほかにもデスヒコとかハララ=ナイトメアとかもいいキャラクターだった。決めるべきところはしっかり決める三枚目と、噛ませメガネじゃないメガネ。
怒り過ぎてオネエ言葉になるヤコウも良かった。tipsの「ゴクーを待ちながら」もウィットに富む。それだと最後までゴクー来ないじゃん。早く来てくれ!ゴクー!
楽しいゲームをありがとうございました。
ここもよかったな。